顧問弁護士って何?という質問については、湊総合さんやベリーベストさんが色々書いてくださっているので、リンクを貼っておこう。(なお、文体が毎回異なるのは、その時観ているコンテンツによる。今は、情熱大陸です。“である”調になります。)

http://www.minatolaw.com/900/

顧問弁護士とは?業務内容と依頼するメリット

(ちなみに、どちらの事務所も“会派”とか“派閥”といわれる弁護士業界内のグループでお世話になっている先生方が沢山所属している。特に、湊先生は圧倒的にエネルギッシュな大物先輩弁護士で、大尊敬する先生でもある。)。

ただ、このページのコンセプトは「一歩前へ」なので、そこからもう一歩考察してみたい。過去2回、労働問題について立て続けに書いたので、折角なのでそれに引き寄せて考えてみる。

顧問弁護士というのは、要するに、「継続的に法律相談を頼まれる弁護士」のことだ。弁護士業務というのは「代理人業務+コンサル業務」だと勝手に思っているのだが、コンサル業務を提供するのが顧問弁護士ということもいえる。

※昔のことはよくわからないが、顧問弁護士というのはどうやら「箔がつく」「印籠代わり」みたいな存在だったと聞く(例によってこれは全く裏を取っていないので、タダの妄想です)。コンサル…?

で、上述したベリーベストさんや湊総合さんも書いている通り、顧問弁護士を(顧問料という、最低でも月額5万円以上の固定費を払ってでも)雇うメリットは、やはり、

直ぐに、気軽に、会社の業務内容を理解した弁護士に相談できて、対応も迅速だ

という点だろう。

旧来型の顧問弁護士は、相談が少なくても多くても、固定の金額を支払わなくてはならなかった。で、実際に訴訟問題になりそうなトラブルになった時に、保険のように弁護士に代理を頼む…という具合。代わりに、法律相談自体は時間無制限という契約が多かったようだ。

若干経済的に考えると、顧問契約を締結しているから、よく会社の事情も知っていて、適切な代理人サービスが提供できて、しかも、ちょっと安価にサービスが受けられる。その対価を毎年積み立てている。という整理だったんではないだろうか。だから、時間無制限の法律相談を全然使わなかった企業も多かったのだろう。

この契約は合理的ではあるものの、やはり、「法律相談無制限」というのは歪みが生じていたんだろう。

ベリーベストさんはこの状況に一石を投じて、「顧問料は月額3980円」という料金設定にしている。これは結構理に適っている。正直、「会社の事情をよく知っている弁護士に相談する」という点で言えば、一旦会社の状況を把握してしまえば、特にトラブルもないならば、極端な話1ヶ月全く依頼しなくても特にリターンは変わらない時も多いからだ。

※ただ、ベリーベストさんはその代わりに法律相談の無料枠を限定的にしていたりする。例えば、月額3万円以上のコースだと相談し放題だが、1万円や3980円のコースだと追加費用がかかる。これは、昔ながらの契約を基準に考えると、顧問契約とタイムチャージ契約の折衷型ということになる。

さて、ここまでは顧問契約の現状なのだけど、僕が一つ提案したいのは、

【目標を定めて一定期間顧問契約を結んで、目標が達成できたら契約を切る。という使い方も良いんじゃないの?】

という提案。

法律事務所で、「コスパが悪かったら切ってもらって良いですよ!」という打ち出し方をしている所は少ないように思う。

前回までの記事に挙げたように、法的紛争に至った場合に“事前準備”というのは凄く大切。

例えば、就業規則の作成(チェックだけでもいい)から始まり、具体的な業務命令の方法に、違反した際の懲戒処分の選択の基準、労働時間把握方法の整備etc…と、事前準備の内容は多岐にわたる。

これを一人の弁護士に頼むことで、事件が発生した時のパフォーマンスは大きく高まるだろう。

しかも、これは正直スポットで頼むべき仕事じゃないと思う。業界、規模、代表のパーソナリティ、人事の体制…会社の特性によって適切な対処はまさに千差万別で、オーダーメイドのアドバイスというのはやはり継続相談している弁護士でないと厳しいと思う(税理士や社労士を毎年コロコロ変えないのと同じ。)

反面、上述した事前準備がちゃんと整ったのであれば、そこから先はしばらく弁護士(コンサルタントとしての弁護士)はお役御免ということになる。

※労働関連法の改正や新裁判例の登場で修正が必要になることもあるが、正直、そこに至る前の土台作りの段階で不足がある企業はいくらでもあるように思う。

ということは・・・、もうそこまでいったら顧問契約は一旦解除しても良いんじゃないだろうか。

目的を設定して顧問弁護士を一定期間雇って、コンプライアンスの土台ができたら解約。

もしかしたら、それが一番企業のためになるんじゃないだろうか。どうだろう。

太田垣

P.S.でも「 時間無制限だーっ!」っていって、月額5万で契約しといて月100時間使って使い捨て…っていうのはやめてくださいね\(^o^)/(現実的には、他の案件の対応もあるので、そこまで時間割けることはないんでしょうけど・・・)